歯の本数の分、臓器があると聞いても、ピンと来る人はおそらくあまりいないのではないでしょうか。歯医者さんからしてみれば「歯は1本1本、それぞれが臓器」であると言えるでしょう。口という同じ場所に数多く存在しているため、実際に1本1本をひとつひとつケアしているという感覚はないのではないでしょうか。これは、裏を返せば、ケアをおろそかにしているということでもあるでしょう。そこで質問です。同じくいっぱいある「指」だったらどうでしょう?同じ場所にそれぞれ5本もある指に対して「1本ぐらいなくてもいい」と思えるでしょうか?きっとそう思っている人はいないに等しいのではないでしょうか。そう考えると、歯も同様に「1本くらいなくてもいいや」なんて思えないのではないでしょうか。歯医者さんは、基本的に「歯の命を継続させる治療」を目指していると言えるでしょう。なんとなく「年寄りに歯がないのは当たり前」なんてことを思っている人も少なくないように感じられますが、それは果たして「常識」なのでしょうか?医療の発達している現代において、その「常識」は、もはや昔のものになっているべきではないでしょうか。医療の発達が逆に安易な抜歯に繋がっていることも否定できないでしょう。これは、もちろん歯医者さんの質の低下も問題ですが、歯に対する患者さんの姿勢というのも関係していると思います。悪質な場合、経営のために高額治療を推奨し、戦略的抜歯であるとかいう「それらしい謳い文句」で抜く必要もない歯を抜かせようとしてくる歯医者さんもいるようです。「1本1本が臓器」である歯を簡単に抜くことは、簡単に臓器をとることです。このように、患者さんだけでなく、歯医者さんですら「大切な1本」を軽視してしまう傾向にあるのが現代と言えるでしょう。しっかりと自身の歯を守っていくのは、自分自身ということを念頭におき、少しでも疑問のあるときは話し合い、もしくは転院を考えるべきと言えるでしょう。