口から食物を摂取し、その栄養素を体内でエネルギーへ変換していくという作業は、食物を口にした瞬間から始まるでしょう。硬いものであれば、丈夫な「歯」で食物を「よく噛む」ことから変換作業は始まります。この「よく噛む」という動作によって、格段に腸からの吸収が良くなるほか、便秘を予防したり、骨や筋肉が丈夫になり、多くの病気から身体を守り丈夫にすると言った効果や、体調を整え、生活習慣病の予防や、日々のストレス発散といったような効果も期待できると言われています。さらに、栄養素を吸収するための大切な臓器である「腸」には全身の約3分の1のリンパ節があるとされており、体に悪い影響を及ぼす物質をできるだけ吸収しないようにしているようです。このことにより、身体の抵抗力を図るという大きな役割を担っていると言われています。つまり、口から食物を「食べる」ことから始まり、「咀嚼」し「分解」し「吸収」していくことで全身の抵抗力を増進させていると言えるのではないでしょうか。また、食べ物をよく噛んで食べるということは、口のまわりの筋肉を使うことになり、顎の骨の発達を促すともされているようです。現代に生きる私たちは、昔に比べて、やわらかくて食べやすいものばかりを食べるようになったと言われています。そのため、噛む回数が減少し、噛む力が失われてきていると言えるでしょう。近年、若い女性などに多く見られる「顎関節症」も、その影響であると考えられています。左右どちらか一方だけで噛むくせなども原因の一つだと言われており、定期的な歯科検診などで全ての歯が健康に保たれているかどうかチェックするのも大切でしょう。今まで間違ったセルフケアをしていたという場合、歯医者さんが丁寧に教えてくれるでしょう。健康全てにつながる「歯」を、より大切にしていけると良いでしょう。